母が患った病気
<多発性骨髄腫>
multiple myelome(MM)

血液の中にはさまざまな成分が含まれていますが、その中の一つに白血球があります。
白血球の中でも免疫を担当するグロブリンというたんぱく質を作っている形質細胞が異常に増殖する病気が多発性骨髄腫です。
異常に増えた形質細胞が大量のタンパク質を作り血液がねばねばします。
また血液細胞は骨の中で増殖することが多いので、
骨が溶けて骨折したり、血液のなかのカルシウム濃度が高くなったりします。
また、赤血球や血小板などその他の血球の正常な生産を邪魔して貧血や出血傾向などさまざまな症状が出現します。

(参考:メディフォーカス)

--初期の症状--
腰痛、他の骨の痛み、だるい、疲れやすい、眠い、頭が痛いなどの貧血症状

*高カルシウム血症*
(骨髄腫を患った人に関連する症状のひとつです。)

高カルシウム血症とは、血清カルシウム値が正常値を超えている状態を言います。
悪性腫瘍、原発性副甲状腺機能亢進症、副腎機能不全、結核、ビタミンD ・ビタミン A の薬剤投与による発生が顕著で、
原発性副甲状腺機能亢進症と悪性腫瘍による高カルシウム血症が、全体の9 0%を占めると言われています。
これは癌患者の診療上きわめて重要な病態と考えられてます。
高カルシウム血症の発生頻度の高い悪性腫瘍として成人T 細胞白血病、多発性骨髄腫、食道癌、腎癌などがあります。
高カルシウム血症の症状は、

ごく軽度では、
・易疲労感
・全身倦怠感
・食欲不振
・悪心・嘔吐
・便秘

などが見られ、続いて
・思考力の低下
・傾眠
・多尿
・口渇
などが生じ、
さらに高度の高カルシウム血症の場合、
・激しい脱水
・意識障害
・昏睡
・ショック
・無尿
を呈し、死に至ることもあります。
高カルシウム血症に対する治療高カルシウム血症の治療は、
1) 原疾患に対する治療
2) 脱水や電解質異常の改善などの高カルシウム血症に対する一般的治療
3) 高カルシウム血症の病態に応じた特異的治療

に分けられます。
悪性腫瘍に伴う高カルシウム血症の場合、悪性腫瘍の原発巣に対しては、
腫瘍摘出、放射線照射、抗癌剤などの投与を行い、
高カルシウム血症に対しては、
十分な補液、ループ利尿剤、カルシトニン製剤、糖質コルチコイド剤、ビスフォスフォネート剤などの投与を行います。
アレディアの作用機序ビスフォスフォネート製剤であるアレディアの作用機序は、いまだ十分に解明されていませんが、
骨に吸着したパミドロン酸が破骨細胞の骨吸収により遊離し、
破骨細胞が高濃度のパミドロン酸にさらされることにより、
骨吸収機能が抑制されると考えられています。

(詳細説明はリンクページの「多発性骨髄腫とは」から)
母が施された治療。
*自家移植*
(詳細説明はリンクページの「自家移植とは」から)

<造血幹細胞移植>

造血幹細胞移植とは,超大量の抗癌剤や放射線照射により
体内の悪性細胞や機能不全の骨髄を徹底的に根絶し,
その後正常の「造血幹細胞」(血液の元となる細胞です)を静脈内投与することにより骨髄の再構築をはかる治療法です.

>>自家造血幹細胞移植(母のした移植方法)

あらかじめ採取,凍結保存しておいた、自身の造血幹細胞を移植します.
採取した造血幹細胞を凍結保存前に抗癌剤で処理することもあります.
あくまでもご自身の造血幹細胞のため,免疫抑制剤の投与は必要ありません.

※母はこの造血肝細胞が比較的順調に採取でき、それを抗癌剤で処理し、移植しました。

★同種造血細胞移植との違い
同種反応であるGVHDが無いため、移植合併症が少なく、高齢者まで対象となる。
しかしGVL効果が無いために再発が多い。
また、移植する細胞(骨髄や末梢血)に腫瘍細胞が混入している可能性もある。


⇒移植片対白血病細胞反応(GVL)
移植したドナーのTリンパ球が患者の体を異物と認識して攻撃するのがGVHDですが、
同時に残存する白血病細胞も異物と認識して攻撃するため、再発が減少します。
これをGVL効果と言います。

※この副作用は避けられています。しかし再発の心配はあるようです。

2004年。移植後の様子。
【11/25】
・合併症でウイルスの影響を受け、熱が下がらない。
・原因として、心臓の周りに水が溜まっている事が考えられる。
・水抜き手術はせず。白血球が増えるのを待つ方向。現状では弊害リスクの方が大きいとの事。

「ここ1〜2日が山場。白血球がいかに増えるかが大きなポイント。いつでも連絡がつくように。」(お父)

【11/26】
・熱は少し治まっている。
・意識はあるがぼわーんとしている。顔が真赤。(お父)

【11/27】
・体温は薬が効いている時には37度台。薬を飲んでから5.6時間経過すると39度前後。40度には上がらなくなった。
・心臓の水は減らないが、増えていないので様子見。そのかわり肺の周りに水が溜まっているのが見つかった。
・⇒午後水抜き処理を受けた。300CC抜いて無事完了。
・白血球は8000となり、囲いが取り払われました。(お父)

【11/28】
・熱は下がりました。今朝までは解熱剤を使っていたようですが、以降飲まなくても37度くらいで治まっています。
・心臓もはっきり写るようになってきました。
・白血球は9000と更に上がっています。
・下痢は未だに続いています。
・軽いいびきをかいて熟睡しているのを確認しました。(お父)

【12/1】
・回復基調になってきています。
・絶対安静宣言されているので、精神的に参っている模様。(お父)

【12/4】
・口が渇いて舌の動きが悪くなり、全身が震え、呼吸が苦しくなる。
・原因は長期の過不安との事で安定剤を開始。
「昨日から具合があまり芳しくなく、可能な限り早く来てくれとの事。」(お父)

【12/5】
・精神的安定の為もあり、個室から二人部屋へ移動。
・白血球や血小板は正常値に近づいてきている。
・血中酸素も98と良好。
・管で採尿していたが、補助トイレでの用足しに。本人喜ぶ。
・いつも点滴に注射していたという薬で(未調査)、急に顔が火照り、少し汗をかく。しばらくまた発作(これも不安からか)が起こり、震え、動悸あり。
・父が来ない事を不満がる。その不満を伝えろと言う。
・なんども直前に自分が言った事を忘れる。話しているうちにそれは減る。まともな会話の際には、これまでの知識や記憶などは正常に思い出せる様子。(マイコ)
【12/6】
・通常食を開始予定。

【12/7】
・今日は、散策とシャワーを体験しました。
・でも又夜がくる、何をしたらいいんだろうと言っていました。
・下痢は一回、食事は普通食だけど2、3口食べる様になったよ。
「もう少し自立心を持たせたい!」(お父)

【12/8】
・血液データは良好。ほぼ正常値に近づく。
・口の震え以外、痙攣的震えも減少。口がおぼつかないのが顕著。
・なんども退屈と漏らす。
・ごはんは昼<夜、と、だんだん食べるように。下痢もなし。熱も下がる。
・トイレに行ったり出歩いたりを要求するように。前向きな言葉が多く、家にも帰りたがる。家に帰ればもっとしっかりする、と言う。
・退屈しのぎに、個人的なクイズをする。マイコと母の思い出などを中心に二人で出し合って答えあう。答えを出すにあたって、記憶をたどったり想像したりする作業が必要なので、なかなか時間がつぶれる。楽しんでくれた様子。
・父が来て喜ぶ。「早く自立しなくちゃ」とつぶやく。
・散歩は気を使ってか、拒んだが、以前よりも活動的になっているのがわかる。(マイコ)

【12/9】
・炎症は1を切った。
・少し熱が出て、昨夜は眠れなかったとの事。
・気持ち、意欲は昨日並み。強くはなっていない。
・早く家に帰りたいナーと言っている。(お父)

【12/10】
・数値は横ばいながら、点滴が一本になる。
・補助トイレでなく、自分でトイレに行けるようになる。
・食欲が出れば、とのこと。
・11日より食べ物の制約も解けるとの事。(お父)

【12/11】
・無言で足を出してくるなどの我侭がある、との事。多分意図的(笑)
・明日マイコがフリースを持ってくるというのを楽しみにしている。(アキコ)

【12/12】
・朝早くから見舞いに行くと喜ぶ。外散歩用のフリースを渡したところ、気に入ってくれる。
・2日間の私の生活などを話すと、興味深く聞いてくれ、意見を言ってくれる。
・今は退屈を持て余すのがいやだ、というはっきりした意思がある様子。風呂など、看護婦の提案にはすぐに乗る。歯磨きなども自主的に立ち上がってする。
・経過は良好。数値も順調に回復しており、本人も満足気。
・あとは食欲が出れば、との事。味覚がない様子、多分薬の副作用。ただ、果物なんかは食感がいいらしく、好んで食べるとの事。
・発酵食品等以外はほとんどのものを口にしていいように。(マイコ)

【12/13】
・小母が見舞いに。元気そうでよかったとのこと。(マイコ)

【12/14】
・大部屋ったとの事。(あきさん)

【12/16】
・Uおばちゃんの報告によると、すこぶる元気との事。
・15日に点滴も取れました。
・明日循環系の検査を行い問題がなければ近々退院となるでしょう。(お父)

【12/19】
・退院。晴れた日の退院で景気がいいねえ。昼には帰宅し、家族揃ったとの事。元気らしい。

【12/22】
・祖母(母の母)が家にいるとの事。身の回りの事もラクになると思う。
・メールの返事がすぐ来るので、比較的安心。

【12/26】
・一緒に夕飯を摂る。普通の1人分は食べられる様子。
・外来で父と車で病院へ行ったとの事。帰宅時にらーめんを食べたが不味かったらしい。やっぱ選んで食べられるのがいいんだろうな、て思った。今日ははずれにせよ。
・祖母を早々に追い返すとの事(涙)。
・思ったより元気そうだが、身体は痛そう。父が体調を急に壊した際にも不安そうになっていましたが、しっかりしていたので祖母の帰宅後も少々安心できると思いました。

母の回復までに影響した薬など。
■骨吸収抑制剤・パミドロン酸二ナトリウム「アレディア」


アレディアはビスホスホネ−トという種類の薬で、破骨細胞が骨を溶かすのを
防止する効果があります。この効果で、高血漿カルシウム症の場合、血中カル
シウムを下げる効果があります。

骨髄腫の大きな特徴として、骨が溶けるという状態があるのは皆さんご存じだ
と思いますが、アレディアを定期的に点滴することによって骨が溶け、脊椎や
、あばら骨などが骨折するのを防ぐ効果があるといわれています。また、骨の
痛みが軽減するともいわれております。アメリカでは、FDA(日本の厚生省)が
1995年の9月に骨髄腫に対する治療にこの薬を認可しています。


<保険適応は>

日本では、乳ガンの治療に対しては保険適用が認められていますが、骨髄腫の
治療そのものに対してはまだ保険が適用されていないのが現状です。
しかし、日本でも多くの骨髄腫の患者さんが、高血漿カルシウムの適応で
アレディアの投与を既に受けておられます。


<副作用は>

副作用については、風邪のような症状(微熱、他)とか、最初の1回目2回目
に骨の痛みがでるといわれています。ただ、これも数回の点滴をするうちにな
くなって来ると多くの患者さんから報告されています。


骨髄腫の場合、骨と腎臓をいい状態に保てれば固形ガンに比べかなりいい状態
で長生きができます。そういった意味でも、アレディアを使って骨を痛まない
ようにするというのは重要なことだと思います。

■ステロイドホルモン「ex:プレドニン」
(心の症状に関係あるかもしれない薬です)

ステロイド薬が効果的な病気はいずれも
炎症のためや、免疫・アレルギーの異常のために
臓器や体内外に障害・症状が現れる病気です。
ステロイド薬にはそれを強く押さえ込む
抗炎症作用、免疫抑制作用、抗アレルギー作用があります。

副作用

この薬は作用よりも副作用のほうが注目を集めています。
薬という物は多かれ少なかれ副作用があります。

*ステロイド量 大量 中量 少量
--重症--
易感染症,骨粗鬆症,圧迫骨折,糖尿病,高脂血症,無菌性骨壊死,精神障害,消化性潰瘍,高血圧,副腎不全の可能性,白内障,緑内障,ステロイド筋症

--軽症--
にきび様発疹,多毛症,満月様顔貌(ムーンフェイス),食欲亢進,月経異常,皮下出血,紫斑,多尿,多汗,不眠,浮腫,低カリウム血症

個人差、投与期間、病気によって副作用も異なります。
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5mg 毎朝服用 四錠
ステロイド量の目安(プレドニン:一錠5mgとして)
大量:30mg/一日以上
中量:15mg〜30mg/一日
少量:5mg〜10mgあるいは15mg/一日